LOVELY TONE


「そう。君。いつも、ありがとな。
三列目の真ん中。いつもいるだろ。
意外と見てんだよー。」

そう言って、笑う。

笑顔を向けてくれた。

嬉しくて、嬉しくて、信じられなかった。

涙が出そうだった。

「あ……はい!!!本当に、好きで、
あの…声が、すごく、、素敵だなって
思って………もちろん曲も素敵だなって!
それで…いつも…はい…。」

言いたいことが、まとめられない。

頭が完全に思考停止状態。

「ありがとう。本当に嬉しい。
いつも早く帰っちゃうからさ。なかなか
話しかけられなくて。やっと話せた。」

真剣な眼差し。

目が合わせられない。

もう、これは、完全に。

恋をしているんだ。

「はい………。なかなか、話せる
勇気が出なくて。わたしも……すごく
嬉しいです…………」

顔が熱い。だめだ。

「顔、赤!!!!笑 人見知りなの?笑」

ふざけたように笑いながら彼が聞く。

「はい………。そうです………」

「………可愛い。ねえ?名前は?」

「工藤えりです…………。」

不意に出た、可愛い。の単語。

慣れてるんだ。こんな言葉を言うなんて。

なのに、どうしてだろうか。

ものすごく嬉しくて。