わたしの名前は、工藤えり。19歳。
今年の春に、大学生になった。
特にやりたいことがなかったから、
就職につぶしがきくであろう経済学部へ
進学。楽しく毎日過ごしている。
そんなわたしは今、ある人に、恋をしている。
「あ、えりじゃーん。まってたよ。」
その人に会うたびに、ドキドキが止められない。うまく話せない、笑えない。
「う、うん。来るって言ってたでしょ?
ちゃんと約束は守る主義だから。」
どうしても素直になれなくて、
もっと可愛くいたいのに。
どうしても、胸の高鳴りがそれを
遮って。強がるわたしを作り出す。
「さっすがー。ありがとな。じゃいくわ。」
そう言って、慣れた手つきでわたしの
頭を撫でる。
そのひとつひとつの行動に
ドキドキが止められなかった。
