「絶対さ、歳の差恋愛よくね?!」
「あーねー、うちは遠距離がいいな」

今日もクラスの女子たちは恋バナ。
毎日そんなことばっか考えて、暇すぎか。
………って考えてしまうのは、私、恋したコトがないからです。
少女マンガが好きで、小学生になってからずっと読んで9年目。
今は、受験前の中学3年ということで読んでないけど。
たぶんだけど、マンガみたいな恋がしたいらしい。

「ねぇ、仁科さん。どんな恋愛がいい?」
うぉ、イキナリ………。
「も、も、もちろん、同クラ恋愛がいいなーて思ってるよー」
誰がいるのよ。同じクラスの男子に全く興味ないっーの。
「えーー!いいね♡♡じゃあじゃあ!このクラスで誰がいいのーーー?」
仁科波留。最大のピンチ。
見渡せば、みんなこっち見てる……。
「え、っとね、と、隣の席の夏江くん…かなぁー?」
…………………
え、ちょっとみんな。なんで黙るのさ!
本気じゃないよ!もおおおお!
「おい、聞いたかよ。仁科さん、夏江がいいらしいぞ!」
「きゃあ♡まじかぁ!」
「えー♡お似合いかもぉ!!」
おい、こら。なんだ、その空気。
祝福ムードですけど、《するなら》よ!
やーめーてーよーーー。
「あ、あ、あのさ………」
私が弁解しようとしたときに『彼』は、私の前に立って言った。
「オレ、彼女いねぇからってテキトーなコト言ったんだろ、仁科さん?」
めっちゃわかってくれてんじゃん!!
つか、もうちょいなんか喜んでほしかったんですけど………。
「そ、そうよ!私は、《す.る.な.ら》って言ったでしょ?」
思い返せば、この言葉が二人のきっかけなのかもしれない。
「じゃあ、してみる?」
彼は、意地悪そうな笑みをこぼした。