久しぶりに、楽しいという感情を覚えた。

ここ何ヶ月か、前世ではどうすれば他人にあまり迷惑をかけず○ねるのか、ということについて考えていたから心の余裕が無かった。

日本ではあまりみない光景。

肉、果物、野菜、雑貨、生活用品、服、靴など、いちいち店が別れ、耳が尖っていたり、髪の色が派手だったり、小さかったり、大きかったりする人々で繁盛していた。

お昼どきだから尚更なのだろう。

噴水の近くではお菓子の店が立ち並び、その中心では、ピエロの顔をした人が芸を行っていた。

花屋からはいい匂いが漂ってくる。
…手前の、口をぱっくりあけている紫色の植物に目を瞑れば目の保養になるだろう…


「おすすめのお店があるんだ。そこで先にお昼にしようか。」

ということで、またもや小綺麗な場所についた。

店の外観は、ベースが白で、周りには色とりどりの薔薇が咲いている。

色が映えて綺麗だ。と、建物をまじまじと見ていると、ふとある花に目がとまる。

青い薔薇。

前世では遺伝子の組み換えによって人工的に創りだすことが出来るらしいが、写真を見た時、痛々しい青だな、と思ったのを思い出す。

でもこの薔薇はなんと聡明なのだろうか。

思わず顔が綻んだ。

店の内装も控えめだが品があった。

落ち着く。

私は消化にいいリゾットを頼み、彼はパスタを選んだようだ。

文句なしに美味しかった。

彼も「やっぱり美味しいな」と満足気に頷いていた。

この店は正解だな。
覚えておこう。

腹ごしらえもすんだことだし、服や食料を調達するため、店を出た。