焦って、怒って、吃驚して、恥ずかしくて、心地よくて、それがまた恥ずかしくて、彼を押しのけ逃げた。


お風呂のドアをパタンと閉めると足の力が抜けた。


確かに、気が動転したとはいえ、私のとった行動は浅はかで軽率だった。

自己嫌悪。反省。

でも、キスしなくたってよかったじゃない…

柄にもなく怒ってしまったし、冷静じゃなかった。

…彼と居ると調子が狂う…

唇に手を当ててみる。

ふにってして、唇が離れたあとの彼の強い眼光に目を奪われた。

!! なんて不埒なこと考えてるの!

この疑問はあとで聞くことにして、あの薔薇のお風呂に浸かって一旦落ち着こう。

顔がまだ赤いのは、お風呂場の温度が高いから。そうにきまってる。