広い。

何がって、お風呂が。

薔薇が浮かんでるし、いい匂いするし。

まずはマナーとして体を洗ってから湯に浸かることにする。

洗い終わってから、ふとこの世界に来て初めて鏡の前に立つなぁと思い自分の体を観察する。

自分で言っちゃあなんだが、前世も今も体付きはスタイルがいいと思う。

グラマー体型だと母からは言われていた。

私的には日本人離れしたボンキュッボンな体は恥ずかしくて嫌いなのだけれど。
(腰が広いからクビレがあるように見えるが、お腹の肉はつまめる)

だが、顔はお世辞にも美人!とは言い難い。悪いわけではないと思うが。

そう思いながら自分の顔を確認するため、鏡に顔を近づけると違和感を覚えた。

もう少し前に気付くべきだったのかもしれない。

体全体が白い。黄色人種のはずなのに。

指が細長い。ピアノを昔からやってたから指は太くて短くて筋肉質のはずなのに。

目が赤い。真っ黒のはずなのに。

金色の髪。茶毛がかった黒だったはずなのに。

気がつくとバスタオルも巻かずお風呂を飛び出し、トイフェルのいるリビングに駆け込んでいた。

人間、気が動転すると何をしでかすかわからないというのはこのことだ。


「これはどういうことっ?!」