「わっと、びっくりした」
階段に向かおうと飛び出したところで人にぶつかりそうになる。
慌てて足を止めると、そこにいたのは立川くんだった。
驚いたように目を丸くし、私を見下ろす。
「あ・・・、立川くん、ごめん」
「亜子ちゃん。どうしたの?」
「あ、あの、・・・まぁちゃんみなかった?」
「真央ちゃん?さあ、見てないけど、どうしたの?」
縋るような気持ちで聞いたけど、見ていなかった。
じゃあこっちじゃなかったのかな。
どこに行ったんだろう。
私に、怒ったのかな。
私が、まぁちゃんを咎めるようなことを言ってしまったから。
「ん?どうしたの?顔色悪いけど」
「あ、ううん。なんでもないの。まぁちゃんを探してるんだけど、こっちじゃなかったみたい」
「一緒に探そうか?」
「ううん。大丈夫。もう少し一人で探してみるね」
そう言って笑って立川くんと別れた。