両親をギリギリまで一生懸命説得し、その熱心さに両親はそれを受け入れた。
でも、勉強を疎かにしない、いい大学に行く、という条件付きだ。
それでも、自分の思いを受け入れてもらえたことが嬉しいと、秋人くんは嬉しそうに語った。
「おーちゃん、よかったね」
「うん」
秋人くんは、きっとおーちゃんに近づきたかったんだ。
弟として、兄の背中を追いたかった。
「亜子」
「ん?」
「今度、ついてきてほしいところがあるんだ」
おーちゃんが、そっと私の手に触れる。
優しく包み込むように握られ、胸がドキッと鳴る。
「うん」
おーちゃんとなら、どこへでも。
その想いを込めて、手を握り返した。


