「違わない!」

「・・・うん」



おーちゃんの手が、私の腕から離れる。
名残惜しくその手を追ってしまう。


おーちゃんは顔を俯かせたまま。



「ど、どこ行くか、考えとくね!」

「ん」

「えと、11時に駅前の噴水でいい・・・?」

「ん」



どぎまぎしながら、聞くと短く答えて頷いてくれる。
おーちゃんと、デート。

デートだ。


舞い上がりそうなくらい嬉しい。



ああ、どうしよう。
顔がにやけてしまう。



「俺、行くから」



そう言うとおーちゃんは教室を飛び出して行ってしまった。
残された私は、それでも心があったかくて幸せ気分。