どうか。 どうか。 もう、あんな思いは嫌だ。 もう、誰も置いていかないで。 僕を、一人にしないで―――――― 失くしたくない。 大切なものは持たないと決めてた。 きっと、もう、戻れると。 でも。 もう、俺はすでに、大切なものを持ってたのかな。 もう、失くしたくない、大切なものを・・・。 「・・・亜子っ!」 勢いよく開けた扉。 息を切らし、肩を上下に揺らす。 その病室の中、彼女を見つけた。