「白石、お前これ黒田に渡しといてくれ」

「え」



用があって職員室に行っていたら、担任に呼ばれノートを手渡された。
黒田音玖と綺麗な字で書かれたノート。
胸がちくりとなる。



「お前ら、仲よかっただろ。返しそびれてたノート。頼んだぞ」

「え、あ、あの、」

「なんだ」

「いえ・・・渡しときます」




別れたんです。
なんて、自分の口から言うには傷口が真新しすぎて。
言ってしまうと完全に納得しなくてはいけなくなってしまうから。

どこまでずうずうしいんだろう。
今になってまだ足掻きたいなんて。



気が重い。
あれから、おーちゃんとは話していない。

話しかけるのは、なんだか違う気がして。

おーちゃんは別れたいのに。
今までみたいに話しかけるのは迷惑かもって。