「いいよね?だって、今までも何でも譲ってくれてたもんね」



確かに、今まで何かがあった時には、俺が我慢というか譲ることは多かった。
それは秋人はここの本当の息子で、それを得る権利があると思ったから。

兄として受け入れられた俺も、本当の、兄ではない。
子どもとして受け入れられた俺も、本当の、子どもではない。



いつも何かが欠けている。
何かが足りない、足りてない。




「俺の頼みなら、何でも聞いてくれるんでしょ?」



きっと、そんな風に俺が思っていることを、秋人は感じ取っている。
だから、こうして強気で来られる。



俺が、断らないことを知っているから。






「お願い、聞いてよ。お兄ちゃん」