・・・そういえば。
王子は好きな人が居て、好きな人に振られた。
ってももりんが言っていた。

王子は好きな人が居るのに、今なんで私と手を繋いでるんだろう。
あれはただの噂なのかな。
にしても疑わしい。

私には関係のない事なのかもしれないけどちょっと気になった。

そうして歩いて居ると、王子のすぐ脇を車が通った。
「危ない!」
そう言って手を思いっきり引っ張った。
すると、王子とピッタリくっつく形になった。
王子はキョトンとした顔をしていたが、すぐにまま笑顔を見せてくれた。
「あの、そっち危ないのでこっち側歩いて。私そっち歩くから。」
ここでもし王子がちょっとでも怪我をしたら、私は死刑もんだ。
王子に怪我をさせるわけにはいかない。
そう思い手を離し王子の前から車道側に行こうとしたが、両肩を抑えられそのまま元の位置に戻ってしまった。
「危ないから俺がこっち歩くの。」
そう眉毛を少し内側に寄せ真面目な声で話す王子。

そっか、私女で、王子は男だからなのか。
それにしても王子、イケメン過ぎるだろ。
私みたいな守る必要のない女すら女性扱いするなんて。
こんな素敵な人を振るなんて、どこのバカだろう。

って言うか私達はどこに向かって歩いてるんだろう。
でも確実に私の家へ向かって歩いている。

「ねえ、私の家知ってるの?」
そう聞くと王子はまたニコッと笑って
「近所なの、知らなかったの?」
そう言った。
「知らなかった!
中学校一緒じゃないからまさか近所だったなんて。」
「俺、一人暮らしだからだよ。地元は別。」
「いつから知ってたの!?」
「んー…あ、そういえば入学初日からインパクト凄かったよ。」
「え!?私何した!?」
「あのね、そこの歩道橋でお婆ちゃんの荷物担いでた。」
そうニコニコしながら話す王子の言葉に恥ずかしくなった。
そういや隣の家のばあちゃんが物持って歩いてたから代わりにもってたんだった。
「お見苦しい所お見せ致しまして・・・大変失礼致しましたっ。」
そう言って俯いた。