いつもの帰り道
なにも変わらない景色なのに
何故か隣に王子が居る。
たわいない話をしてみるが、こんなに話した事あるっけ?って思うくらい話している。
王子は常にニコニコしながら話を聞いてくれている。
あれ、話してるってより、勝手に私が話しかけてるようなものか。
でもこうでもしないとこれから来る破滅の始まりに耐えられない。
…あれ、でも破滅するのか。
そう考えたら急に切なくなった。
話題も上手く振れなくなり下を見ながら歩く。
目の前には王子と私の影がある。
王子の影は影でも綺麗だなーなんて変な事を思いながら見ていた。
すると王子の影の右手が私の影の左手に近付いた。
そのあとすぐ王子の右手と私の左手がくっついた。
王子がゆっくりと私の指に指を絡ませる。
王子って、顔小さいのに手は大きいんだって初めて知った。
王子を見てみる。
相変わらず笑ってた。
「ごめんっ!」
そう言って手を離そうとしたが、離れなかった。
さっきより手が強く握られて、抜け出しづらくなっていた。
あ…これは逃げるなよ?って事なのかな。
どんな思惑だろうと王子に触れてると言う事実が勝ってしまい心臓がバクバクドキドキしている。
「可愛いよ。」
王子をみてみると、真剣な顔をしていた。
「…え?」
全く状況が飲み込めなかった。
「愛理は可愛いよ。」
そうしてもう一度ちゃんと言われた。
分からないけど「うん。」と言い手を繋いだまま歩いた。

