外に出る予定もないため、わたしは制服を適当にハンガーにかけ、パジャマに着がえた。

髪の毛からぽたぽたとこぼれ落ちる雨の雫が、じゅうたんに染みていく。
今野さんへの想いが、わたしの心に沁みていくように。

たんすの中からタオルを取り出し、首をかこむようにして、頭をふく。
雑すぎたのか、雫がそこら中に散らばってしまった。

窓に透明の線が引かれるのを見て、わたしは今日の空を思い出す。
そういえば、あの時はこんな雨が降るなんて、あんまり考えていなかった。

こういうことは、よくあることだ。
いきなり初めて会った人に、恋をしてしまったり、このままズルズルと引きずっていくのかとも思われた友情が、もう切られてしまいそうだったり。

黒い雲は分厚くて、これならわたしの手でも容易につかめそうだ、と思った。
だが、実際はやっぱり、不可能だった。

窓いっぱいに閃光が走り、続いてすさまじい音が鳴り響いたため、わたしはこわくなって窓のカーテンをこれでもか、というくらいキツくしめ、ベッドに避難した。