「⁉…それってどういう…」

「……花屋の広告でさ。
バレンタインは男の方でも好きな子に
花束渡してコクってもいいってのが
書いてあって……

だからつまりそういう事で…
取り敢えず今夜は一緒にメシでも…どう?」

泣いた涙を拭きながら
震える手にブーケを受けて
彼女が小さく頷いた。


2月14日___


明かりが消えた夜のオフィス。

誕生したてのカップルが
まだぎこちなく手を繋ぎ

街の明かりに消えていった。 


男はリュックに小さな包みを
女は胸にブーケを抱いて。


(おわり)