涙色。


そう考えている間にも、先生の顔は強張っていく。


もっと困らせちゃお…。


私はマスカラで長く濃くなったまつげを、先生のほほに近づけた。

そしてもっと顔を肩に引き寄せ、耳元でささやいた。


「…2人だけの内緒…つくりたい…」

「…っ…」


先生の顔が赤くなっていく。

手の力をゆるめて、次は顔に引き寄せおでこをくっつける。

そして、ゆっくり目があった。


…ドキンっ…


ドキドキする。…


引っかけているのは私なのに…。


さっきまで冷静だった私の心臓が、ドクドクと脈をうつ。

先生の整ったさわやかな、
でも甘すぎるその顔に…。

だめだ、

ドキドキする。

こんなの、初めてだ。


先生の少し照れた赤い顔とまっすぐな目が、愛おしくて仕方がない。

これ以上、目を合わせられない…。


耐えられなくなった私は目をぎゅっとつむった。


「…すーっ…はぁ…」


深く深呼吸をする。

ドキドキを止めないと。

冷静じゃないと…。

でも、私の心臓は言うことを聞かない。

も、もう1回深呼吸をしよう。

うん。

私が少し息を吸い始めたときだった。