すると・・・
かすかにだけど、
「おーいおーい」と声が聞こえる。
その方向を見ると、2メートル位先に
私と同い年くらいの、男の子が・・・
よく聞くと、彼はこう言っていた。
「そこのお嬢さーん。
拾ってくれてありがとなー。
それ、俺のなんだー。
悪いけど、こっちに来てくれー」
私は走って、男の子に届けてあげた。
「サンキューな」
「どういたしまして。
でも、どうしてわかったの?
私が拾ったってこと」
「俺、昔から視力だけは良いんだ。
だから、拾ったってわかったんだ」
そういうことだったんだ。
「ところで、名前は?」
「私は、秋中千里。高校1年生」
「俺は橋本 遊介(ハシモト ユウスケ)。高1だ」
「えっ!?同い年だったんだ」
コクリとうなずく。
「じゃあ、遊介君でいい?」
「俺も、千里ちゃんでいいか?」
「いいよ、千里で」
と私は笑う。
「わかった。そうするな。」
「うん!」
「でも、この辺じゃ見たことないな。
引っ越してきたのか?」
「ううん。おばあちゃんの家に、
夏休みの間だけ遊びに来てるの」
「ふーん」