「転校生の、橋本遊介君だ。
みんな、仲良くしろよ」
「はじめまして、橋本遊介です。
よろしくお願いします」
と言い、ペコリとお辞儀。
「かっこいい」
「あんな彼氏欲しいな」
あちこちでヒソヒソ声が聞こえる。
「えーと、
橋本の席は窓側の一番後ろだな」
つまり、美鈴の後ろ。
ホームルームが終わり、休み時間。
「どこから来たの?」
「好きな食べ物は何?」
クラスの女子が、
一斉に遊介君に質問攻め。
「人気だね、あの転校生。
それで、どういうことなの?千里」
「シッ、遊介君に聞こえるよ」
こっそりと私は、
美鈴に夏休みのことを話した。
「そんなことがあったんだね。
しかも幼馴染みとは。
それで、告白の返事は?
まさかと思うけどさ、
あれが返事じゃないよね?」
「・・・えっ」
私は、美鈴の言っている話の、
意味がよくわからない。
「だから、千里。
告白の返事はあれで終わり?」
「うん。そうだよ」
「えーもったいないよ。
せっかく告白してくれたのに」
そう言ってくる美鈴。
でもなぁ・・・
「あんまりよく知らない相手と、
付き合うのはどうかなって。でも、
告白してくれた時は、
すっごく嬉しかったよ」
「よく知らないって・・・
二人は幼馴染みじゃなかったの?」