「スイカ美味しいねー」
「たくさんあるからね。
好きなだけ食べておくれ」
「やったー」
もし、おばあちゃんじゃなくて、
お母さんだったら、
絶対に「1個か2個ね」て言うから。
そんなとき、
[ピンポーン]
とチャイムが鳴った。
「千里、ちょっと出ておくれ」
「うん」
セールスかもしれないから、
音をたてないように、
私はゆっくりと玄関に近づいていく。
[ピンポーン]
もう一度チャイムが鳴る。
「はーい」と言い
「ガチャ」とドアを開ける。
「えっ」
ドアの向こう側の相手に、
私はびっくりしてしまった。
「お母さん!?」
「あら。そんなに驚くこと?」
「だって、仕事は?」
「今日からお休み」
「千里。どうしたんだい」
と言い、おばあちゃんがやってきた。
「おや、理恵。久しぶりだねぇ」
「そうね。何ヵ月振りかしら」
「おやまぁ、大変。
びしょ濡れじゃないか。
タオル持ってこなきゃねぇ」
「大丈夫よ。
こんなこともあろうかと、
ちゃんとタオルも持ってきたから」
「そうかい、遠慮せずに言うんだよ」