「今さ、アパートの前にいるんだ。取りに行くから何号室?」
『え?いえ、下までお持ちします』
さすがにそれはマズイ
わざわざ社長に来てもらうなんて…
資料を手に持ち、アパートを出た
別に化粧なんて、いい
出張の日だって見られていたし…
だから忘れていた
自分の顔に痣があることなんて
アパートの前に一台の車が停まっていた
私が大好きなミニクーパーだ
「悪いね、小森」
車に寄りかかりながらタバコの火を消している社長
『いえ、多分、私が入れてしまったんだと思います。すみません』
社長に資料を渡そうとしたら
社長の手が私の頬に触れた
「またやられたのか」
あっ…、
ヤバいと思った時には遅かった
社長の顔が怒っている
そしてゆっくり、冷却シートが剥がされていくのがわかった

