「どういうこと?」
不機嫌な声が耳に伝わる
『まだ終わらないの。それに終わってから帰っても2時近い。明日も早いから5時には起きないとって考えたら、近くのホテルに泊まった方がいいって…』
なにそれ、俺に嘘ついたの?
不機嫌な和弥の声が更に不機嫌になる
『嘘じゃない…けど、ごめん。明日は5時に終わって片付けとかしたら帰れるから…9時には帰るから…』
「澪じゃなくても、できるだろ…そんな仕事…。だから早く辞めろ」
まただ…
電話を切ると、スマホを強く握りしめていた
ブースにいるみんなから見えないところで良かった
どんな顔をしてるか、見なくてもわかる
こんな顔じゃ、みんなの前に戻れない
私はトイレへ行き、顔を洗った
マスカラがウォータプルーで良かった

