「おや、神谷くんの秘書さん」


午前中の会議
社長の隣に座る私は視線が痛く
どうしていいか、わからずにいた

会議が始まる前、社長は喫煙ルームへ行く、と言ったので
その間にトイレに行こうと
私は社長と別行動だった

トイレから出ると、待ってましたと言わんばかりに遠峰社長がいた


『お疲れ様です。神谷でしたら喫煙ルームの方にいます。呼んできます』


遠峰社長と距離を置こうとしたが
それを阻止された


「いやいや、秘書さんと話がしたくてね」


そう言いながら、また舐めるように私を見てくる

あー、気持ち悪い。鳥肌が…


「昨日は残念だったよ。せっかく君と話せると思ったんだが、」


昨日というのは会食のことだろう
やはり社長の言うとおり
行かなくて正解だったようだ


『申し訳ありません、立て込んだ仕事もありましたので…』


早くこの場から立ち去りたいと思いながらも、上手く逃げることができない