私は慌てて頭を下げる
「その本、もう廃盤になっているんだ。だから、愛読書なんて言ってもらえると嬉しいな。秘書さんの名前を聞いてもいい?」
まさか名前を聞かれると思わず慌てた
『は、はい。私、こもーー』
「小森澪、僕の秘書さん」
かぶせる様に社長が答える
そんな社長の対応に安西先生は笑っている
「ははは、澪ちゃんね。そうか、うん、うん。神谷くん、近いうちに秘書さんも一緒に食事でもしよう。そのふざけた本の感想も聞きたいしね」
また連絡するよ
そう言って、安西先生は
他の人たちと話し始めた
私たちは会食があるため
一度、ホテルへ向かうことにした
『社長、私、安西先生のファンではないですが、ソレ好きなんです。自己紹介くらいさせてくれてもいいじゃないですか』
ちゃんと自己紹介したかったのに…
社長に邪魔されたのが残念でならない
「んー?けど、食事に誘って貰ったったから、そのうち会えるよ」
そう言って私の頭をポンポンする

