Savior-社長は救世主-


講演中、社長は私が渡した本を
ずっと読んでいた
講演は真面目すぎるくらいの内容
本当にこの人が、こんなふざけた本を書いたのかと思うくらい…

講演が終わるが、社長はまだ本を読んでいる
もう少しで読み終わるんだろう
私は手帳を確認しながら
会場の様子を見ていた

講演を聞いていた人たちは
「先生」と集まっていく

中には代表作を手にし
サインを求める人もいる

私もサインが欲しい、が
この作品はメジャーじゃない
そんな作品にサインしてもらうのは
どうも気がひける


パタン、と本を閉じる音がした
行くぞ、という声に
私は急いで手帳を鞄に入れ
社長の後を追った


まさか…?
手にはさっきまで読んでいた本
社長が向かっているのは、その本の著者

先生と呼ばれた人の周りには
まだ人だかりが出来ていた