社長は何も聞かないし
何も言わない、
泣くだけ泣いた私を見て
不細工な顔してる、て笑ってくれた
コンパクトで自分の顔を見れば
酷い有様だ
お世辞でも、大丈夫とは言えない
ちょうど、サービスエリアが見えてきた
「直しちゃいなよ。直したら飯にしよう」
時計を見れば、11時半
サービスエリアの駐車場に車を停め
社長は喫煙所へ行ってしまった
社長が席を外してくれた間に
化粧を直した
まさか社長の前で泣くなんて思ってもみなかった
どんなに罵声を浴びても
身体に痣が出来ても
和弥の前では泣かなかった
『あー、メンタルぼろぼろ』
よし、と気合を入れ車から出た
喫煙所へ行くと、
二人の女性が社長に話しかけていた
社長は私と目があうなり
彼女らに、ごめんねと言い
「澪」と呼んで駆け寄ってきた

