「そうなの?なら途中まで一緒に帰ろう」
はい、と返事をして席に着く
社長は何か言いたげな顔をしていたが
優さんがいる手前、何も言わずにいてくれた
心配してくれたのはわかる
けど、迷惑はかけたくないし
これは私と和弥の問題だ
下手に社長を巻き込んだら
社長に危害が加わるかもしれない
そう思ったら社長にも
優さんや藍さんにも言えない
社長がいなくなったあと、
優さんの仕事が終わるのを待ち、事務所を出た
駅で優さんと別れ
和弥にメールを入れる
電車に乗り、目的の電車を降りる
駅の出入り口に、和弥を見つけた
変わらない和弥
『和弥』
そう呼ぶと、和弥は私に気がついて
私の姿を確認すると手をあげる
人様から見たら
優しそうで気の利く、彼女想いのいい彼

