「小森」
社長の一言で私の動きは止まった
いつもの社長の声じゃない
かなり…かなり怒っている
見るだけだ、と
私の手を外し、ゆっくり袖を上げた
そして、確認して袖を戻した
社長は自分の頭をクシャクシャと掻く
「いつから?」
その言葉に私は何も言わない
「昨日だけじゃねぇだろ」
「古いのもあった」
腕をちょっと見ただけで
そんなとこまで見られていたとは…
ちょっと感心してしまう
『社長、6時になりますよ。相沢社長との時間です』
話を終わらせようとするが
社長はその気はないようだ
「そんなのはいい、俺の話を…」
そのとき、ただいまーと優さんが帰ってきた
『おかえりなさい、お疲れ様です。社長は6時から相沢社長と会食があるそうです』
社長から逃げるように離れた

