『し、社長っ!』


なかなか離してくれない
優さんと藍さんが見ているから
さすがに恥ずかしい



「お前ら、早く帰れ」



ようやく口を開いたかと思えば
優さん達に帰れと言う

はい、はい、と
呆れながら帰ってしまう優さん達


『え?あ、ちょっと、優さん!?』


私の事なんてお構い無しだ
バタン、と閉じられたドア
二人きりになった事務所

少し離れていた私の身体
また社長の腕によって引き戻された
どうしていいかわからない
沈黙だけが過ぎていく

社長に抱きしめられていることに
やはり恥ずかしさもあるが
安心する方が大きい

社長の鼓動が更に安心させてくれた


「小森」


ようやく口を開いた社長
抱きしめていた腕を緩め
私の顔を両手で挟む


好きだ、と聞こえた時には
社長の唇が私の唇に触れていた