「こもりー、ちょっといい?」


キッチンで洗い物をしていたら
書斎にいる社長に呼ばれた


『どうしました?』


顔を覗かせば、座れという感じだ
二人掛けのソファに座ると
何故か社長も私の隣に座る

なんだ、なんだと構えてしまう


「明日、仕事が終わったら会うぞ」


私の目を見て、社長はハッキリ言った
会うぞ、
誰に?とは聞けない
わかっている
わたしが会わなきゃならない人

会いたくない
身体のどこかで悲鳴をあげている


膝の上に置いた手をぎゅっと握る
わかってる…、わかってるけど…



大丈夫だから、


そう言って私の頬を拭う社長の手は優しい
反対の手で私の手を握ってくれている


「俺も…純也もいるから大丈夫。小森を一人にさせない。話し合いをするだけだから、大丈夫」


私の頭を引き寄せて
あやすように頭に触れてくる社長
私は頷くだけしかできなかった