Savior-社長は救世主-


「あのイルカさん、おっきい!」


駐車場までの道のり
何度そういう声を聞いたか…

恥ずかしさより嬉しさの方が高い
ニコニコして抱きしめる私に
社長は呆れている様子


「こもりー、それどうするんだ?」


ソレというのは
私が抱きしめているイルカのぬいぐるみ

好きなものを買えという
社長の言葉に大いに甘えて
一番大きい何万もするぬいぐるみを選んだ


『えー?抱きしめて寝るんです』


その答えに子供みたいに笑う社長
やはりこの年でそれは無いのかと思うが
これが社長だと思えば安眠ができる


「まあ、喜んでくれたのならいい。飯でも食って帰るか?」


『はい!あ、社長のお兄さんのお店がいいです、この前連れて行ってもらった時に悩んだのがあったんです』


「えー、また?」


行きましょう、と社長の腕に絡みつき
小走りになった
今日だけはいいよね?と思いながら…