ゔーっ、と呻き声と同時に
寝ていた父が起き上がった
「…神谷くんは?」
『もう寝たわよ、全く…お父さん飲みすぎっ!社長もだいぶ飲んでたよ』
そうか、なんて他人事のように言う
ちょうど母がお風呂から上がってきた
私もお風呂に入ろうとソファが立ち上がると、父が話し出した
「俺たちのことは気にするな、澪が笑顔でいることが俺たちの幸せなんだ。結婚や孫なんて二の次、三の次だ。嫌になれば帰ってきたらいい、澪一人増えたって食っていけるだけの給料はあるんだ」
何故いきなり言ったのかはわからない
けど、父の気持ちはありがたい
父の言葉で胸の痛みも無くなった
その代わり
私はお風呂の中で沢山のものを流した
悲しい涙ではない
嬉しい涙だ。
親だから当たり前と思う
けど、あんな風に言葉に出されると
やっぱり嬉しいし、
両親の有り難みが物凄く実感した

