『和弥』
私が声をかければ
振り向き、笑顔で手を上げてくれる
「澪、おかえり」
『ただいま、遅くなってごめん』
大丈夫、と言って私の鞄を持ってくれ
反対側の手で私の手を握る
私の彼氏、相馬和弥
私の二つ年上の25歳
和弥は公務員…区役所の納税課
主に滞納者を担当しているらしい
公務員だから、和弥は遅くても7時には帰宅する
私が帰るまでの時間
和弥は夕食を作って待っててくれる
朝は私の方が出勤が遅い分
朝食の片付けと夕食の下ごしらえをする
和弥と付き合って1年、同棲して半年
忙しい私が心配だと
同棲をしようと、和弥が言ってくれた
「澪との将来、考えてるから」
優しくて頼り甲斐があり
なかなか会えない私に文句一つ言わず
私を好きでいてくれた和弥
私は和弥の申し出を受け入れ
同棲を始めた

