なんだよ、
自分から仕掛けたくせに
耳まで真っ赤って…
私まで余計に恥ずかしくなる


もしかしたら
もう二度と戻らないかもしれない
それでも、たくさんは持っていけない
だから最低限の身の回りのものを詰め込んだ

私が荷造りしている間
社長は誰かに電話をしていた


『終わりました』


大きな鞄1つ、とキャリーケース1つ
あとは、大丈夫。

本当に和弥と別れられるのだろうかと不安がないわけではない


テーブルの上には置き手紙


怖いって思う
けど、私の手は今
和弥ではない、社長にしっかり握られている


「いくぞ」


私は、部屋を出た
これからどうなるかわからない
けど、社長がいてくれるなら
大丈夫な気がする

社長に恋愛感情があるか、わからない
けど、社長のそばにいたい気持ちは
前から変わらない