全部全部思い出した。
お母さん、前、旧姓は長野だって言ってた。
長野楓。これも知っている。
「久しぶりだね。かえちゃん。裕人。」
「え…やっぱりそうだったのね…」
「ど、どういうことだよ、春花!?その呼び方は…」
お父さん…裕人、動揺してる。当たり前だよね。
「そう。前世の私が呼んでたよね。」
「前世って…花蓮!?…なのか?」
「かえちゃんは薄々感づいてたよね?」
「ええ…前に花蓮に聞いた話があって、それと…全く一緒の話があったから…」
「『全く一緒の話』?」
「これ…」
持ってきていたノートを、裕人に差し出す。