8月30日。1日早いけど、お父さんの初恋の人のお墓参り。お父さんの実家は、私の家から車で1時間ぐらいかかる。
車を降りて10分ぐらい歩くとお父さんに
「ここだ。『菊川家之墓』って書いてあるだろ?」
って、言われた。
私は言葉が出なかった。菊川花蓮は明らかに知っていた。けど、聞いたことはない名前。
ううん…聞いたこともある!確か、人見知りで…仲の良い友達以外には、『菊川さん』って言われてた…!
これも、花蓮さんの記憶…?
違う!……私の誕生日って、花蓮さんが亡くなった日と、同じだったよね?
「ねえ…私って、何時に生まれた…?」
「午前8時ぴったりよ。ちょうどだったからよく覚えてて…ねえ…春花まさか…」
私の中で花蓮の記憶がパズルみたいに組み立てられていく。
もう…さん付けで呼ばないよ…だって…私、前世の記憶を持ってる、菊川花蓮の生まれ変わりだもん。