そのままその日の部活は終わった。

玲奈が病院にいくため、私は一人で帰っていた。

「あ、遥」

「……ああ。」

私の前を歩く遥に、つい声をかけた。

「なあ、今日の…どう思う?」

遥が弱々しい声で聞いてきた。

「私は良いと思うよ。悠二くんだとは思ってなかったけど。玲奈がなるって思ってた。」

私が冷静に答えたつもりでいると、

「声、震えてる。藤宮さんが良かったんだ」

「……うん。」

私は何かを隠すのが本当に下手だ。

「…柳さんがなると思ってたんだ。」

「え?私はないよ、ないない。」

「自分がなるのは大体わかってたんだ。で、柳さんがなって…楽しようかと。」

「最後の知りたくなかった!やっぱり悠二くんで良かっね!!」

私は皮肉たっぷりに言った。

でも、遥が部長になってくれたらいいな、と思っていたのは本当だ。

『ばいばい。お疲れ様。』

私が歩き始めると

「なあ」

また、遥が声をかけてきた。

「ん?」

私が振り返ると

「相談…のってくれてありがとう。」

笑顔で遥が言った。

それから遥は走って帰っていった。

「…。」

分かるくらいの顔の熱さ。
分かるくらいの胸の高鳴り。

ーーーこれが恋かもしれない。

そう思った。