「あの!武くん!!」

翌日、私はすぐに武くんに話しかけた。

「ん?」

ふりかえった武くんはいつもと変わらない笑顔だった。

「武くん…あのさ。」

「何?」

「噂、聞いたよ。玲奈から。」

「……え?」

武くんの表情がひきつった。

「柳…なんで……。」

「ごめんね。」

「……あんなのただの噂だよ!」

ただの噂… たしかにそうかもね。

でも。

「ただの噂でも、玲奈が言った噂は信じるよ。」

「……。」

武くんは目を泳がせていた。

「…武くん。じゃあね。」

私がそう言うと

「柳……っ!」

消えそうな、か細い声で武くんが呟いた。

「好きなのは本当。わかってほしい。」

「……その気持ちは半分わかるよ。」

武くんを私が好きだったかはわからないけど、私はわかる気がした。

「…じゃあ…。」

「でも、それはダメだよ。お互いね。」

そう言って私は武くんから離れた。

こうして、約1ヶ月で私のはじめての彼氏とお別れした。