「はあ…はあ…」

5周目を終わろうとしていたとき、急にツラくなってきた。

「柳ー!おっせえぞー!」

武が笑いながら叫んだ。

「がっ頑張ってるよ!!」

息があらくなってきた。

ふと、遥が視界に入る。

寒がりの遥はジャージを着て、さらにカイロを貼っている。

だから、私よりキツそうに見える。

横腹を押さえながらも走る遥をつい、目で追ってしまう。

気付くと、横に武くんがいた。

「頑張れよー柳。遅いなあ。俺が歩いても付いていける。」

「あーそーですか!」

息があがる。

「なんで武くん走ってるの?」

「え?あー……なんとなくだよ。」

武くんが前を向いたまま答えた。

「へー。無駄な労力使うねー。」

私が適当に返事をすると

「なんだよ。」

と、言って武はサッカー部に戻って行った。