「教えてくれないならいいよ」
くらい声が聞こえた瞬間
先輩が引き返して行ってしまう姿がまぶたの裏に浮かんで
涙が滲んだ。
すると
肩から回された腕
臆病に弱々しく私を抱き締めた。
頭の中が真っ白になって
メイク崩れも忘れて
思わず振り返った。
「先輩・・・・?」
見上げた私を
安心したようみ見つめると
「先に義理を渡された身でなんだけど・・・」
そう言いながら
そっと私の手のひらにおいた小箱。
「これ、見つけた時に恵梨香ちゃんの顔が浮かんで・・・
開けて見てよ」
戸惑いながら
先輩と手の内の小箱を何度も見返して
困惑しながらも
小箱を開けると、中にはティアラの形をした指輪が光っていた。


