話したいことって・・・
あんな嫌そうにチョコ受け取ったくせに・・
それともなに・・・?
私の精一杯の義理チョコを突き返しに来たわけ?
「このチョコ。義理なんでしょ?なら、本命は誰にあげたの?」
雨音に負けないくらいの大きな声。
私は答えようがなくて、その問いかけに首を横に振ることしかできなかった。
「なんでそんなこと、先輩に言わなきゃいけないんですか?」
小さな声は
聞き取りずらかったらしく
触れそうなほど、背後に先輩の気配が近づいた。
「本命は誰?・・・」
「だからそんなこと、先輩に教える必要なんてないじゃないですか・・・」
上ずる声が情けない。
でも、それが唯一、私の心をこれ以上傷つけないよう守るための言葉。


