「一度しか言わねぇから。」


「ん?何?」



こんな時に、一度なんていってる俺だけど。


「なつき。」





たぶん、これからは沢山言ってしまうんだろうな。






あきれるくらい、沢山。







「大好きだ。愛してる。」




「//////////!!!」



とたん、なつきは言葉をなくし、その場にヘナヘナと倒れこむ。


「ちょ、おい、なつき!!」

俺がとっさに腕をつかむと、またさらに倒れこむ。



店のオーナーがそれに気づき、大声を張り上げる。

「ちょっとーー!!!!!誰かなつきちゃん支えてあげてーー!!!」


「なつきちゃーーーん!しっかり!気を確かに!!」




……ダメだこりゃ。

俺は、しゃがみこんで、完全にへたりこんだなつきを見下ろす。


すると、なつきは急に起き上がって俺に抱きつく。


「ちょ、おい!なつき!!」

店内からはひゅ~♪と冷やかしの口笛が聞こえる。

「なつき?!」


なつきを支えつつも、抱き締め返すと、顔を真っ赤にしてなつきが顔をあげる。
目には、たっぷり溢れてしまいそうな程、雫をのせていた。

「あたし!!……私、今日と言う日を絶対に忘れないよ!!春樹君が、産まれてきてくれて、すっごくうれしいの!私も……大好き!!!」


そう言って、泣きながら俺にしがみつく。
その手は、少しだけ震えていて。でも、強く俺を離さなかった。



ああ。


なんだよ。



好きって伝えるのは



こんなにも、気持ちが良いものなのか。



格好悪くたって構わない。



俺はいつだって、なつきが大好きだから。


それは、本当にこれからも揺るがないんだ。




とりあえず、なつきが泣き止んで、ケーキ食べたあとに、もう一度言おうかな。




ためらうことなんか、ないんだ。

そう。




大好きだ、ってな。






番外編/君に好きと伝える【完】