「お前を初めて見たのは、たぶんお前が大学にはいる前。覚えてるか?夜、あそこの大橋で書類ぶちまけたこと。」

書類、、書類、、


「あのときでしょ、不動産屋に行ってたとき、たしか、覚えてる!私あのとき2回も書類落としちゃって!」

「そうそう、おれ、それ遠くで見ててさ、ひっさびさ笑ったわけ。バカだわー平和だわーって。」

「な!人の失敗を笑うなんて最低!助けてよ!」

「助けるも何も、お前すぐいったしなー。広い忘れてた書類あったぜ?…ってか、なに?ビックリしねーの?何で知ってるのとか。」


「わたし、実は大次さんのこと、その時見たよ。……てか、やっぱりあそこにいたの大次さんだったんだ。」

「は?え、は?いやいや、目あわなかったけど?!」

「うんチラッと見た。だけ。」

「それで普通わかるか?」

「わかる。だってその日、昼間にうちの高校の近くの小橋のど真ん中でタバコ吸ってたでしょ。それも見てたから。」


「おまえのの高校?どこだ……あ、もしかしてデパート裏の?ああ、たしかにその日、取引先の客待ってる間に一服してたわ。なんか、高校あったな。」

「その時。その時に友達と見てて、カッコいいねってはなしてたの。だから、覚えてた。人目みてわかった。」

「じゃあ、何でこのまえ大橋でぶつかった時に、言わなかったんだよ。」

「その時は、流石に忘れてた。でも、すぐ思い出した。」

忘れられはずなかった。あんなに、あの時だけしか会えなかった人をずっと心の何処かで探していたのに。


「…まあ、そんな昔のこと思い出しただけすげえわ。」

「うん……でも、たぶん、それくらい、私には些細な出来事には思えなかったのかもしれない。…でも、そーゆう大次さんだってよく覚えてますね?」

そう言って。
少し真面目な顔で大次さんを見てみると、大次さんもちょっと真面目そうな顔をしていた。

「俺も。俺は、むしろかなり大きい出来事だったよ。あの時は、丁度人生に嫌気さしてたからな。なんだろな。お前見た瞬間。見たってゆうか、見つけたって思ったんだよ。すげえ、笑ったし……すげえ嬉しかった。だからだろうな、お前の落とした誓約書、俺拾ったんだよ。また、お前に会いたくて。」