「相談??」


カツ丼を食べながら、昨日の拾ったプリントを見せた。

「これ、さっきも話しただろうけど、大事そうな書類だろ?電話番号も住所もご丁寧にかいてあるけど、さすがに見ず知らずの男から連絡来るのもどうかと。」

「警察に渡せば?」

もくもくとカツ丼を食う朝井は、何事もないように言う。


「まあ、そうなるよな。」

まあ、それが一番はやいんだけど。

早いけど。



警察に渡しに行くのが拾ったやつの定めだろー?

と、カツ丼を頬張り続けながら国彦が言う。


なんだ、この、違和感。

あぁ、そっか、俺。



たぶん、

「……おれ、もう一回会うための口実が欲しいのかも。」


「え??」

なに?聞こえなかった!と、朝井が言う。


「嫌……なんでもない。」


俺は、また会いたいって思ってる。

あのこに、また会いたいと。


「何でもなくねーだろー!!」

「何にもないのに何を言うんだよ。」

「きー!ムカつくお前!!!」


あぁ。でも。こんな紙切れ一枚でどうやって探すんだ。


「家……行くのも不自然すぎるなぁ。」



また、きっといつか、あの橋で会える。


不思議とそんな気持ちが消えなかった。





たぶんその頃から、女遊びも夜遊びもやめたな。

理由は何となくだったけど。

たぶん、今思い返すと、あの子の存在は大きく膨らんでいた。