リアル

「この前……どこ行ってたんですか……?」


ついに、耐えきれなくなって、あたしはたまらず聞いてしまった。


「――この前って」


「あたしが、部室で待ってた日……。部室に車がなかったから、出かけてたんでしょ?」


これで、カイ先輩が慌てるような素振りでも見せてしまったら――あたしは、知らないフリを続ける自信はなかった。

知らず知らずのうちに、カイ先輩の答えに全神経を集中させている自分がいた。


「ああ……」


しかしカイ先輩は、特に動じるような様子もなく、


「その日は……たしか隼人のスタンドにいた」


と、のんびりつぶやいた。


「お兄ちゃんの……?」


「うん。隼人がバイトの時に行って、タイヤ交換してもらってた」


どくんどくんと緊張していた全身から――一気に力が抜けた。


「どうしたんだよ」


今度は、あたしが動揺をごまかす番だった。

寂しかったんです、と、いつもにないことを言って――あたしはまたカイ先輩の胸に抱きついた。