「エリィ、本当は優しいんだけど、無表情すぎて感情がわかりにくいんだよね。」

「…そうかしら……」

「うん。すっごい損してるよね。こんなに綺麗で可愛いのにものすっごい損してるよね。」

「…それはないわね。」

私の答えにはぁーと溜息をつく茉美。

「あと、完璧すぎて近づけないよね。その顔で学年一頭が良くて、運動もできて、
でも……なんか色々こじらせてる感じ!!
多分この学校で私しかエリィと一緒にいられないよ!やったー!!!」

最後に近づくに連れて大きくなりすぎる声に、クラス中が注目していた。


そんな茉美に私は呆れる。
これが毎朝の日課のようなもの。

「……声が大きいわ。」

えへへっと笑う茉美に更に呆れてしまう。

「ごめんごめん」

「……………」

…絶対に悪いと思ってないわね。

「でも、今日もみんなエリィに見惚れてたよ!あと話しかけたそうだった!!」

「…そう。」

「もー!いっつもそんなことばっかり言って!それがこじらせてるって言うんだよ!!」

これから長そうなお説教が始まりそうな勢いだったけれど、SHRの鐘がなり、担任が入ってきた。

担任の登場に渋々前を向く茉美を見て、私は安心したのだった。