「待ってください、浅野課長。それは確認が不十分だった私のミスでもあります」
「いや、俺はとりあえず初めにミスした張本人と話したい。みんなは先にオフィスに戻っててもらえるか」
浅野課長がそう声をかけると、みんな渋々という表情でミーティングルームから出ていった。
ドアを隔てた廊下から、わずかに話し声が漏れてくる。
「そんなに怒ることかなあ? たしかに珍しいミスではあるけど」
「やっぱり冷徹上司っていう噂は本当だよね。まだ異動したばかりの永原さんをあんなふうに責めるなんて」
「……」
ちらっと浅野課長のほうを見ると、彼はこっちを向いてひとつため息をついた。
