表情がわからないようにうつむきつつ、なんて言おうか考えている私を見つめて浅野課長が口を開いた。
「わかった、じゃあ俺がうまいことミーティングルームに誘い出すから、ちゃんと気づけよ」
「はい……よろしくお願いします」
よかった、なんとかうまくいった。私は内心ほっと胸をなでおろす。
「じゃあ、また後で」
「はい」
じゃあ、また後で。
お決まりのこのセリフを聞くのも、もうこれが最後なのかな……。
きっと、浅野課長の背中を恋しく見つめるのも、今日が最後。
私は唇をぎゅっと噛みしめて零れ落ちそうになる涙をこらえ、会社へ向かうため足を踏み出した。
