「今日はどうする? 明日予定ないなら泊まっていけば」
「え……」
そう言って私を見つめる浅野課長は、私が初めて電車で腰を抱き寄せられたときと同じような、獲物を捕らえた目をしていた。
ううん、あのときは私自身じゃなくて私のメイクを観察したいがためにあんな目で見つめてきたわけだけど……今は違う。
私と浅野課長の部屋の間にある距離は、わずか徒歩3秒。
いくら長い時間一緒に過ごしていたって、終電なんか気にせずいつでも部屋に帰ることができる。
それなのに、わざわざ泊まっていくよう勧めるってことは……。
山のような量の少女漫画を読んでいるからか、想像力が無駄にたくましく育ってしまった私は、その言葉の裏にある意味を妄想して顔から火が出そうになった。
