「まあでも、同じアパートに引っ越してきてからよくご飯誘われたり、部屋に来ていいか聞かれたりしたけどな」
「それってもろアプローチされてるじゃないですか!」
でも、麻友さんの気持ちは少しわかる気がする。
私も会社でたまに仕事の連絡をする程度の関係だった頃は、いつもポーカーフェイスを崩さない浅野課長のことが怖くて、近づこうなんてまったく考えなかったもん。
浅野課長はファッションショーの企画サークルに入ってた、って言ってたっけ。
きっと麻友さんも、サークルでは仕事に集中するあまり無愛想で近寄りがたい浅野課長が、アパートでは気さくに接してくれるのを見て、だんだん惹かれていったんじゃないかな……。
「まあ、とにかくもうあいつには関わらなくてすむから、心配することないよ。そんなことより……」
浅野課長はそう言いながら、ぼんやりとテレビを眺めている私の肩を抱き寄せた。
